シミ取りレーザーで取れないシミとは?肝斑・ADM・老人性色素斑・そばかすの違い
2026/10/16
シミ取りレーザーで取れないシミとは?肝斑・ADM・老人性色素斑・そばかすの違い
「シミ取りレーザーを受けたのに、シミが残っている」
「何度もシミ治療をしているのに、なかなか薄くならない」
このようなお悩みで美容クリニックを受診される方は少なくありません。
実は、一般的に「シミ」と呼ばれているものにはいくつかの種類があり、すべてのシミが同じレーザーで取れるわけではありません。
代表的なものとして、
・老人性色素斑(日光黒子)
・肝斑
・ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)
・雀卵斑
などがあります。
これらは見た目が似ていることがありますが、色素が存在する深さや発生する仕組みが異なるため、適した治療方法も異なります。
そのため、シミ治療で重要なのは「どのレーザーを使うか」だけではなく、まずシミの種類を見極めることです。
今回は、それぞれの特徴と治療方法の違いについて解説します。
シミ取りレーザーで取れないのはなぜ?
シミ取りレーザーは、皮膚に存在するメラニン色素をターゲットとして照射する治療です。
特に、紫外線の影響などによってできる老人性色素斑(日光黒子)は、レーザー治療が選択肢となります。実際に、美容医療診療指針でも日光黒子に対するレーザー・光治療の有効性が示されています。
しかし、シミに見えるものがすべて老人性色素斑とは限りません。
肝斑やADM、炎症後色素沈着などが混在していることもあり、同じ治療を行っても反応は異なります。
つまり、
「レーザーで取れなかった=レーザーが効かなかった」
とは限らず、
「そもそも別の種類の色素斑だった」
という可能性も考える必要があります。
① 老人性色素斑(日光黒子)とは?
老人性色素斑は、顔や手など紫外線を受けやすい場所に生じる代表的なシミです。
「老人性」という名前がついていますが、高齢者だけにできるものではありません。長年にわたる紫外線の影響などによって、30〜40代頃から目立ってくることもあります。
老人性色素斑の特徴
・茶色〜濃い茶色
・境界が比較的はっきりしている
・丸いものから不整形なものまである
・頬やこめかみなどにできやすい
・紫外線の影響を受けやすい
このタイプのシミは、ピコレーザーなどによるスポット照射が選択肢となります。
2025年のシステマティックレビューでも、日光黒子に対するレーザーやIPLなど複数の治療法の有効性が報告されています。
ただし、照射後には一時的に色が濃くなる**炎症後色素沈着(PIH)**が生じることがあります。
そのため、「レーザーを当てればすぐに完全に消える」とは限らず、治療後の経過をみることも大切です。
② 肝斑とは?
肝斑は、主に頬骨周辺などに左右対称に現れやすい色素斑です。
30〜50代の女性に多くみられ、紫外線だけでなく、ホルモンや摩擦など複数の要因が関与すると考えられています。
肝斑の特徴
・左右対称に出やすい
・頬骨周辺に広がることが多い
・輪郭がぼんやりしている
・薄い茶色〜褐色
・濃くなったり薄くなったりすることがある
肝斑は、老人性色素斑のように単純に「シミ取りレーザーで取る」という考え方が適さない場合があります。
美容医療診療指針では、肝斑に対するレーザーやIPLは、遮光や外用・内服などの保存的治療で十分な効果が得られない場合に、併用療法として行うことが提案されています。
近年のレビューでも、肝斑は再発を含め治療が難しい色素性疾患であり、レーザーだけに頼らない総合的な治療が重要とされています。
そのため当院でも、肌状態を確認しながら、ピコトーニングなどの機器治療に加え、必要に応じて内服・外用・スキンケアなどを組み合わせて治療を検討します。
③ ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)とは?
ADMは**Acquired Dermal Melanocytosis(後天性真皮メラノサイトーシス)**の略です。
一見するとシミや肝斑に見えることがありますが、大きな違いはメラニンをつくるメラノサイトが真皮に存在することです。
そのため、一般的な表皮のシミとは治療への反応が異なります。
ADMの特徴
・頬骨周辺などに現れやすい
・左右対称にみられることがある
・灰色〜青みがかった褐色に見えることがある
・小さな色素斑が複数みられることがある
・肝斑と間違われることがある
ADMでは色素が皮膚の深い部分に存在するため、その深さを考慮したレーザー治療が必要になります。
ピコ秒レーザーなどによる治療も行われており、近年の研究でもADMに対するピコ秒レーザー治療の有効性が検討されています。
一方で、一度の治療ですべて改善するとは限らず、複数回の治療が必要になることがあります。
④ 雀卵斑(そばかす)とは?
雀卵斑(じゃくらんはん)は、一般的に**「そばかす」**と呼ばれる色素斑です。
鼻から頬を中心に、小さな茶色い斑点が左右対称に多数みられるのが特徴です。
老人性色素斑が紫外線などの影響によって年齢とともに目立ちやすくなるのに対し、そばかすは遺伝的な要因が関係し、幼少期から思春期頃に目立ち始めることが多いという違いがあります。
雀卵斑(そばかす)の特徴
・鼻から頬にかけてできやすい
・数mm程度の小さな茶色い斑点が多数みられる
・左右対称に広がることが多い
・幼少期〜思春期頃から目立つことがある
・紫外線の影響で濃くなることがある
そばかすに対しては、IPL(光治療)やピコレーザーなどが治療の選択肢になります。
小さな色素斑が広範囲に多数存在する場合にはIPL、目立つ色素斑をピンポイントで治療する場合にはレーザーなど、状態に応じて治療方法を検討します。
ただし、そばかすは治療によって薄くなっても、紫外線や体質などの影響によって再び目立ってくることがあります。
- そのため治療後も、紫外線対策を継続することが大切です。
「肝斑だと思っていたらADM」ということも
シミ治療を難しくしている理由の一つが、複数の種類のシミが同時に存在することです。
例えば、
「肝斑+老人性色素斑」
「ADM+肝斑」
「老人性色素斑+炎症後色素沈着」
など、実際の肌では複数の色素性病変が重なっていることがあります。
特に肝斑とADMは頬骨周辺に左右対称に現れることがあり、患者様自身で判断するのは難しい場合があります。
だからこそ、シミ治療では「シミがあるから全部同じレーザーを照射する」のではなく、それぞれのシミの種類に合わせて治療を組み立てることが重要です。
ピコスポットとピコトーニングは何が違う?
当院でもよくご質問をいただくのが、ピコスポットとピコトーニングの違いです。
ピコスポットは、気になる色素斑を狙って照射する方法です。老人性色素斑など、比較的境界がはっきりしたシミの治療で使用します。
一方、ピコトーニングは低い出力で広い範囲に照射を行う方法で、肌状態を確認しながら肝斑やくすみなどの改善を目指します。
同じピコレーザーを使用していても、目的や照射方法は異なります。
そのため、
「ピコレーザーを受ければどんなシミでも取れる」
というわけではありません。
シミの種類を診断し、それぞれに適した照射方法を選択することが重要です。
シミ取りレーザーを受けてもシミが残った場合は?
レーザー治療後に色素が残っているように見える場合、すぐに追加照射を行うとは限りません。
まず、
①元々どの種類のシミだったのか
②炎症後色素沈着ではないか
③肝斑やADMが混在していないか
④治療後どの程度の期間が経過しているか
などを確認します。
レーザー照射後の炎症後色素沈着であれば、時間とともに薄くなっていく場合もあります。
「まだ残っているからもう一度レーザーを当てる」と自己判断するのではなく、一度肌状態を確認することをおすすめします。
よくある質問
Q. シミ取りレーザーは1回で取れますか?
老人性色素斑などでは1回の照射で改善がみられる場合がありますが、すべてのシミが1回でなくなるわけではありません。
シミの種類・濃さ・深さなどによって治療回数は異なります。
Q. 肝斑にシミ取りレーザーをしてはいけませんか?
肝斑では、老人性色素斑に行うような高出力のスポット照射が適さない場合があります。
一方で、レーザー治療そのものがすべて不適切というわけではなく、肌状態や治療方法を適切に判断する必要があります。
Q. ADMはピコトーニングで治りますか?
ADMは真皮にメラノサイトが存在するため、一般的なくすみや肝斑とは治療の考え方が異なります。
状態に応じて、色素の深さを考慮したレーザー治療を検討します。
Q. 自分のシミがどの種類かわかりません
ご自身で判断する必要はありません。
実際には複数種類のシミが混在していることもあるため、診察で肌状態を確認してから治療方法を決めることが大切です。
Q. そばかすと普通のシミはどう違いますか?
そばかす(雀卵斑)は、小さな茶色い斑点が鼻や頬を中心に多数現れやすく、遺伝的な要因も関係しています。
一方、一般的に「年齢とともに増えてきたシミ」として認識されることの多い老人性色素斑は、長年の紫外線曝露などが関係します。
見た目だけでは判断が難しいこともあるため、治療前にシミの種類を確認することが大切です。


